ノーカーボン紙のメリットとデメリットを理解して、上手に使いましょう
相当古い話になって恐縮なのですが、以前は伝票類を複写するには、カーボン紙が必要で、どこの会社でもカーボン紙が机の引き出しに2、3枚はありました。
領収書などの伝票の下にカーボン紙をはさんで複写する、今から思うとすごく原始的な方法なのですが、当時は当たり前のようにカーボン紙をはさんで複写してましたので、ご年配のお客様なら、きっとご記憶にあることと思います。会社や自営業では必須の事務用品だったカーボン紙ですが現在では、すっかり見なくなりました。
20代の若いお客様なら、「カーボン紙って何?」ということになるのではないでしょうか。 さて、カーボン紙を見なくなったのは、伝票類の複写がノーカーボン紙にとって変わったためです。現在では伝票類はすべてノーカーボン紙による複写になっています。
今回は、このノーカーボン紙の特徴とメリット、デメリットについて、見ていきたいと思います。
ノーカーボン紙の正体はミクロの粒子状のカプセル
ノーカーボン紙とは、感圧紙と呼ばれる特殊な用紙のことです。
筆圧によって複写する点ではカーボンインクを裏面に印刷塗布した用紙と同じですが、ノーカーボン紙は、ミクロの極小な粒子状の混合反応液のようなものを詰め込んだカプセル物質が紙に吹きつけられた構造になっています。
複写の原理は、筆圧によってカプセルがつぶれて中の混合反応液が化学反応して、発色するというものです。
それでは、このノーカーボン紙のメリットとは何でしょうか。カーボン用紙を使った複写やカーボンインキを塗布した用紙による複写に比べて、擦れて複写される用紙を汚したり、また手にカーボンインキがついて汚れるということがないので、扱い易いというのが最大のメリットです。
一方、デメリットとしては、水や湿気に弱い、圧力に弱い、10年以上の長期保存に向かないということがあります。
水に濡れない、湿度の低い場所に保管しましょう
水に濡れると、反応液が薄まってしまい発色した文字が消えることもありますので、ノーカーボン用紙の領収書は、水に触れない場所や湿度の高くないところに保管するようにしていただきたいと思います。
引っ掻いた程度では、ミクロのカプセル物質がつぶれることはありませんが、圧力を加えるとつぶれて発色することがありますので、ノーカーボン用紙の伝票類の上に極度に重たいものを載せることは、避けていただくのがよいでしょう。
また10年以上経つと文字が薄くなったり、消えてしまうことがありますので、一般的に長期保存を要する書類等には向かないとされていますが、領収書などの伝票類の税制上の保管義務期間は、7年ですので水濡れや湿度に気をつけて保管しておけば、7年で文字が消えるということはありませんので、心配はご無用です。
メリットとデメリットを理解して、ノーカーボン紙の伝票類を上手に使っていただきたいと思います。